病気について

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ノミ・ダニの予防について

2025/02/03

フィラリアの予防時期が近づいてくるに従い、ノミとダニの予防ってどうすればいいんだっけ?という質問をいただくことが増えてきました。

今回はノミとマダニの予防について、解説します。

ノミとダニってなに?

フィラリアと比較してノミとダニは比較的イメージがつきやすいのではないでしょうか。

いずれも皮膚に寄生する寄生虫で、寄生した動物の血液を吸って生活をしています。

よくダニというと「布団の中にいるやつ」などと思っていただくのですが、予防の話で出てくるダニは「マダニ」という種類のダニであり、布団や絨毯の中にいるダニ(チリダニなど)とは別の種類のダニです。

ノミは主に感染している動物から新しい動物に移ることで感染し、マダニは主に草むらから飛びついてきて感染すると言われています。

また、よくある質問として「虫だから冬は感染しないんですよね?」というものがあります。

しかし残念ながらノミ・ダニは冬場も感染します。

ノミとダニはなぜ予防しないといけないの?

理由としてはどちらも感染により病気を引き起こすからです。

ノミに寄生されるとアレルギー反応が引き起こされ、皮膚にかゆみが出ます。

マダニに寄生されると、マダニが持つウイルスに感染し、重度の体調不良に陥ることがあります。

また、動物に症状が出ることも問題ですが、ご家族に感染することもあります。

ノミによる代表的な病気

代表的な病気はノミアレルギー性皮膚炎と瓜実条虫寄生です。

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミに血を吸われる際、ノミの唾液に対するアレルギー反応が生じ、体が痒くなる病気です。

犬や猫ではノミに寄生されているような場合、体をよく舐めるので意外とノミが見つからなかったりします。

そのため、皮膚の痒みが見られる子では予防歴を確認し、予防をお願いすることが多いです。

瓜実条虫の寄生は犬や猫でよく認める病気です。

瓜実条虫という寄生虫がノミの体の中に潜んでいて、動物が体を舐めることによりノミを食べてしまうと、瓜実条虫に感染します。

目立った症状が出ることは少ないのですが、肛門付近に虫の体の一部が付着するので、「肛門付近に米粒のようなものがたくさんついている」という症状で相談を受けることが多いです。

犬猫にノミがついてしまい、ノミが家庭内に侵入すると、人も体が痒くなったりと被害を受けます。

ダニによる代表的な病気

ダニによってうつされる病気は色々ですが、いずれも症状が重かったり、治療法がなかったりでかなり難しい病気です。

特に最近感染が広がっており、動物だけでなく人の致死率が高い病気としてSFTSが挙げられます。

SFTSは重症熱性血小板減少症候群という病気であり、登山が趣味の方は知っておられる方も多いですが、まだまだ認知度が低い病気です。

マダニに刺されることで、マダニ内のSFTSウイルスに感染し、高熱などの重篤な症状が出ます。

犬や猫の感染例も報告されており、犬猫から人への感染も報告されています。

ノミ・ダニの予防期間

一昔前までは、フィラリアと同じく暖かい期間の予防が推奨されていました。

しかし今は、マダニが媒介する病気が重篤であり感染数が増加していることなどを背景に、一年中の予防が強く推奨されています。

予防薬の種類

予防薬は大きく分けて2種類存在します。

以下その解説です。

つけるタイプ(スポットタイプ)

長い間使われている予防薬です。

製品は様々ですが、成分はフィプロニルを使っている商品が多く、月に1回垂らすことで効果を発揮します。

また、新しい世代のつけるお薬は、1回の投与で3ヶ月効果を発揮するものもあります。

悪いお薬ではないと思いますが、予防薬をつけているのにノミやダニに寄生されているという診察をちょこちょこ経験します。

そのため新しい世代のスポットタイプのお薬以外はあまり勧めていません。

ただ、お薬の価格は非常に安価であり、その点は他のお薬ではどうやっても勝てません。

予防しないよりは絶対にいいので、費用がネックになる場合は、スポットタイプでの予防をおすすめします。

スポットタイプ予防薬

食べるタイプ

食べることで血中に予防薬の成分が浸透し、ノミ・ダニを予防できるお薬です。

即効性や持続性の点でも申し分なく、犬の予防では基本的にこちらをおすすめしています。

フィラリアも同時に予防できる製品もあり、お手軽なのも大きなメリットです。

食べるタイプの予防薬

まとめ

ノミ・ダニは様々な病気を移してしまい、1年中感染のリスクがあることから、年中の予防が推奨されています。

ずっと使うものなので、予防薬の選択に困った場合は当院へご相談ください。