コラム

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外耳炎について

ジメジメした季節や暑い時期に多く発生する外耳炎という病気をご存知でしょうか。

特に犬の飼い主の方は話をよく聞くかもしれません。

今回は犬の外耳炎の解説をおこないます。

外耳炎とは、耳介(耳の外側)から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起こる病気です。

耳を痒がる、耳が臭う、耳が赤いなどが代表的な症状です。

症状が進行すると中耳やさらに深部の内耳まで炎症が波及し、場合によっては聴力低下や斜頸(首を傾ける傾向)などの症状が出ることもあります 

よく聞いていただく質問なのですが、原因は非常に多岐にわたり一言で答えるのは難しいことが多いです。

以下では色々な原因について解説を行います。

代表的な主因としては、アレルギー性皮膚炎、草や毛などの異物、ミミダニなどの外部寄生虫が知られています。

細菌や酵母(マラセチア)などが副因に当たります。日常診察ではこれらの増加を指摘することも多いのですが、これらだけでは外耳炎にならないということは重要なポイントです。

耳の形や湿度などが素因に該当します。「垂れ耳なので外耳炎になった」という話をよく聞きます。しかし実際には垂れ耳だけで外耳炎になることはなく、垂れ耳で外耳炎になりやすいというのが正確な表現です。

外耳炎がうまく治らないと、徐々に耳が腫れていきます。その結果、換気が悪く、分泌物も多くなり外耳炎は治りにくくなります。このような変化を持続因子と呼びます。

主に耳鏡と呼ばれる器具を用いて耳を観察することで診断します。

また、耳垢を検査することで、耳ダニの有無や細菌・マラセチアなどの増殖具合を評価します。

また、耳が腫れすぎて中が見えない場合や神経症状を疑う場合にはCT・MRI検査を検討することもあります。

外耳炎の治療はさまざまな治療法の組み合わせです。以下でいくつかに分けて紹介します。

外耳炎の際、耳は耳垢などで汚れ、細菌やマラセチアの増殖を伴うことが多いです。そのため、適切な洗浄剤を使い徹底的に洗浄を行います。洗浄剤は耳垢を溶かす製品や消毒剤が入っているような製品を使用します。

基本的には耳に直接お薬を入れることで外耳炎の治療を行います。使用するお薬は様々で、1日1回自宅で使ってもらう製品や、1週間もしくは1ヶ月に1回病院で使用する製品があります。

重度の外耳炎では腫れのため耳が痛かったり、穴が狭くなっていたりで十分な治療ができないことが多々あります。このような場合はあまり無理をせず、ステロイドの内服などで炎症をある程度静めてから治療を行います。

治らない外耳炎、繰り返す外耳炎にお困りの方は多いと思います。このような場合はしっかりと原因を考え、必要な時には紹介での画像検査を併用しつつ治療に当たることで、改善に向かうことが多いです。

外耳炎でお困りの方がいらっしゃれば、当院へご相談ください。