猫の腎臓病は、特に高齢の猫ちゃんでとても多く見られる病気です。
「慢性腎臓病と言われたけれど、どんな治療をするの?」「お薬はずっと飲み続ける必要があるの?」と、不安や疑問を感じている飼い主さまも多いのではないでしょうか。
腎臓病の治療では、食事管理と水分摂取量の増加が基本となりますが、症状や進行度に応じてお薬を併用することで、体への負担を減らし、生活の質(QOL)を保つことができます。
ただし、使われるお薬の種類や目的はさまざまで、「腎臓を治す薬」というよりも、腎臓病とうまく付き合っていくための薬と考えることが大切です。
このコラムでは、猫の腎臓病でよく使われるお薬について、
「どんな目的で使うのか」「どんな点に注意が必要か」を、できるだけわかりやすく解説していきます。

1. ベラプロストナトリウム
日本国内では有名なラプロスという名前で販売されているお薬です。
効果は複雑ですが、腎臓を保護し、腎臓病の悪化にブレーキをかけるようなイメージを持っていただけるといいと思います。
良いお薬だと思いますし、当院でもよく使用しています。
ただ、腎臓を治す効果はありませんし、目に見えて元気になるような性質のお薬でもありません。
また、基本的に長期使用(場合によっては生涯)飲むお薬なので費用もかかってきます。
費用面でもご納得いただけて、内服により腎臓病の進行が抑制されていると信じられる方には、使用していただきたいと思っています。
2. アムロジピン
血圧を下げるお薬です。
慢性腎臓病の猫は、高血圧になってしまうことがよくあります。
高血圧が続くと、さまざまな臓器にダメージを与えてしまうため、慢性腎臓病の猫は血圧測定を行い、高血圧の早期発見に努めています。
3. ACE阻害薬、テルミサルタン(ARB)
慢性腎臓病では、腎臓からタンパク質が漏れ出てしまうことがあります。
そのタンパク質を尿検査で検出した場合、これらのお薬を使用し、タンパク質が漏れ出るのを防ぎます。
猫の腎臓病ではタンパクが漏れ出るタイプの腎臓病は割合として少なく、本当の意味での使用機会はそう多くはないように思います。
ただ、特にひと昔前がそうだったのか、慢性腎臓病だからというだけでACE阻害薬を飲んでいるという場合があります。
脱水などがあると良くない効果もあるため、一度相談していただくのが良いと思います。
4. リン吸着剤
食事を腎臓病療法食にしているのにも関わらず、リンが体内に蓄積してしまう場合にリン吸着剤を使用します。
さまざまなリン吸着剤が医薬品、サプリメントを問わず存在しますが、当院では鉄材のリン吸着剤を使用することが多いです。
5. 造血剤
慢性腎臓病ではエリスロポエチンと呼ばれるホルモンが不足し、貧血になることがあります。
人でイメージするような貧血の症状が出ることは少なく、元気食欲の不振として症状が現れます。
現在は猫用の造血剤が存在し、注射を行うことで改善が見られることが多いです。
また、急速な造血により体内の鉄が急速に使用されると言われているため、当院では同時に鉄剤の投与も行います。

猫の腎臓病は、完全に治すことが難しい病気ですが、適切な治療と管理を続けることで、穏やかな生活を長く保つことができます。
お薬はそのための大切なサポートのひとつであり、症状や病状の変化に合わせて内容や量を調整していくことが重要です。
「最近お水をよく飲む」「食欲や元気が少し落ちてきた」「お薬を嫌がるようになった」など、ちょっとした変化も治療を見直す大切なサインになることがあります。
気になることがあれば、無理に判断せず、ぜひ早めにご相談ください。
猫ちゃん一頭一頭の状態に合わせて、できるだけ負担の少ない治療を一緒に考えていくことが、私たち動物病院の役割です。
腎臓病と向き合いながらも、その子らしい毎日を送れるよう、私たちは飼い主さまと一緒にサポートしていきます。
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2026.02.05
