
新しく猫を迎え入れられて、去勢・避妊手術を行うかどうか悩む方は多いのではないでしょうか。
今回は猫の不妊手術についての解説を行います。
猫の去勢手術とは
猫の去勢手術とは精巣摘出術のことを指します。
多くの病院では陰嚢の中央を1箇所切開し、2個の精巣を取り出しています。 各病院の方針にもよりますが、猫の去勢手術では縫合を行わないことが多く、色々な手術がある中でも珍しい手術になっています。
Ⅰ. 猫の去勢手術のメリットは?
猫の去勢手術のメリットはいくつかありますが、基本的にはマーキングやケンカの抑制といった行動の変化によるメリットが大きいと思われます。
犬ではこれに加え病気の予防が大きなメリットとして挙げられます。
しかし猫では精巣に関連した病気の発生自体が少ないため、このメリットを実感することは少ないと思います。
Ⅱ. 猫の去勢手術のデメリットは?
猫の去勢手術にはメリットとデメリットがあります。 多くの獣医師はメリットの方が大きいと判断すると思いますが、ご家族の方も納得してから手術を決断していただくために、内容を知っておきましょう。
① 肥満
最も多い去勢のデメリットです。
去勢を行った猫は、代謝の変化や行動の変化などにより太りやすい体質になると言われています。
そのため、術後は去勢・避妊済みのご飯などでカロリーをコントロールすることが大事になります。
② 麻酔のリスク
ご家族の方が最も気にされる点だと思います。
詳細については別ページで解説しているため、そちらをご覧ください。
若くて健康な子の麻酔リスクは0.05%未満と言われています。
このリスクが大きいと感じるか小さいと感じるかは人によるとは思いますが、多くの獣医師はこのリスクであれば手術を実施したほうが良いと判断しています。
Ⅲ. 猫の去勢手術の時期は?
猫の去勢は5〜6ヶ月齢以降であればいつでも実施可能です。
当院では5〜6ヶ月ごろに性成熟に達し、マーキングなどをし始める子が出てくることを考慮し、6ヶ月齢ごろでの実施をおすすめしています。
ラハ動物病院での去勢手術の流れ
よくある若い猫さんの去勢手術は以下のような流れで行います。
術前検査
麻酔をかけても良いかどうかの検査を行います。
基本的には8時間以上の絶食を行い、検査をすることが望ましいと考えています。
そのため、朝ごはんを抜いて午前中に来院していただくか、朝ごはん以降なにも食べずに午後診察の遅めの時間に連れてきていただきます。
何らかの事情により絶食が難しい場合、検査の日程の都合がつかない場合は、当日の検査も可能です。
この際は、検査結果が悪く当日手術が中止になる可能性のみご了承ください。
手術日
12時間の絶食の上、午前中の診察時間に来院していただきます。特に猫は病院があまり得意ではない子が多いため、できるかぎり午前中遅めの時間帯でのお預かりをおすすめしています。
来院後は当日の流れをご説明した上で、猫さんのみお預かりしご家族の方には一度ご帰宅いただきます。
12〜13時ごろから鎮静・麻酔を実施し、手術を開始します。
手術は30分ほどで終了することが多く、麻酔から覚めた後は入院室で経過をみます。
特に問題なければ午後の診察時間で退院していただきます。
当院は陰嚢を縫わないため、よほど気にする様でなければエリザベスカラーなどは無しで退院していただきます。 また、家でのトラブルもなければ特に再診もありませんので、当日で終了となります。
猫の避妊手術とは
猫の避妊手術は大きくわけて2つの方法があります。
1つは卵巣のみ切除する卵巣摘出術です。
もう1つは卵巣と子宮を同時に切除する卵巣子宮摘出術です。
どちらの手法も一長一短でどちらかが明らかに優れているわけではありません。 当院では基本的に卵巣子宮摘出術を実施しています。
猫の避妊手術のメリットは?
猫の避妊手術にはいくつか大きなメリットがあります。
「発情の抑制」と「病気のリスク低下」に分けて解説します。
発情の抑制
避妊手術を検討されている方には、猫の発情行動を見たことがない方も多いと思います。
猫の発情行動はよく鳴くなど少し騒々しく、特に集合住宅で飼育されている方などはご近所トラブルにも繋がります。
また、望まない交配が起きてしまい、猫を引き取ったなどもよく聞くので、こういったトラブルを避けることができる点も大きなメリットです。
病気のリスク低下
猫では避妊手術により乳腺腫瘍のリスクを下げることができます。
猫の乳腺腫瘍はいわゆる乳がんであることが多く、発生が命にかかわることもあるので、非常に大きなメリットになります。
特に1歳までの手術効果が高いと言われているため、早めの実施をおすすめしています。
また、子宮・卵巣の腫瘍や子宮蓄膿症なども低い確率ながら発症する可能性があるため、この予防という意味でもメリットがあります。
猫の避妊手術のデメリットは?
猫の避妊手術のデメリットは去勢手術と同様に肥満と麻酔リスクです。
犬ではその他特定の病気の発生率が上昇するなどの報告がありますが、現時点で猫では確認されていません。
猫の避妊手術の時期は?
猫の避妊手術の実施時期は4〜6ヶ月齢が望ましいとされています。
当院では体格やご家族の猫への慣れなども考慮し、5〜6ヶ月齢での手術をお勧めしています。
ラハ動物病院での避妊手術の流れ
よくある若い猫さんの去勢手術は以下のような流れで行います。
術前検査
麻酔をかけても良いかどうかの検査を行います。
基本的には8時間以上の絶食を行い、検査をすることが望ましいと考えています。
そのため、朝ごはんを抜いて午前中に来院していただくか、朝ごはん以降なにも食べずに午後診察の遅めの時間に連れてきていただきます。
何らかの事情により絶食が難しい場合、検査の日程の都合がつかない場合は、当日の検査も可能です。
この際は、検査結果が悪く当日手術が中止になる可能性のみご了承ください。
手術日
12時間の絶食の上、午前中の診察時間に来院していただきます。特に猫は病院があまり得意ではない子が多いため、できるかぎり午前中遅めの時間帯でのお預かりをおすすめしています。
来院後は当日の流れをご説明した上で、猫さんのみお預かりしご家族の方には一度ご帰宅いただきます。
12〜13時ごろから鎮静・麻酔を実施し、手術を開始します。
手術は1時間ほどで終了することが多く、麻酔から覚めた後は入院室で経過をみます。
特に問題なければ18時以降に退院となります。
去勢と違って縫合を行うため、エリザベスカラーもしくはエリザベスウェアの着用が必要になります。
しかし、猫ではエリザベスカラーを極端に嫌がる子、性格的に抜糸が困難な子など問題が生じる場合があります。
よって相談の上、当院では皮下に糸を埋没させる形での縫合を行い、抜糸を不要とする場合があります。
