コラム

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熱中症について

今回は5月ごろから発生が多くなる熱中症についての解説です。

熱中症は人でもよく知られた病気ではありますが、やや異なる点もあります。

ぜひ知識をつけて熱中症を予防してあげてください。

熱中症は高体温によって起こる体の様々な異常の総称です。

日本では5月ごろから件数が増加し始めます。

フレンチ・ブルに代表されるような短頭種や大型犬に発生が多いとされており、肥満犬にも多いと言われています。

犬は人間と異なり汗をかいて体温を調節する生き物ではなく、パンティングという呼吸により体温調節を行います。

しかし、この呼吸があまりに激しくなるとそれ自体が熱を作ってしまい、体温調整ができなくなります。

その結果、熱中症に陥ってしまいます。

初期症状は呼吸が早い、ぜえぜえ言っている、唾液が多いなどです。

重症化するにつれ、起立不能、嘔吐・下痢、痙攣などが起こります。

また、特に重篤化した場合には熱により血を止める機能が正常に働かなくなるため、内出血や下血が起こります。

「高体温」と「熱中症を起こす環境」の2点が揃った場合に診断を下します。

また、熱中症になると様々な臓器が正常に働かなくなるので、血液検査をはじめとする各種検査で状況を確認します。

熱中症の治療は状況により様々ですが、基本的には冷却と水分補給が重要です。

病院に着くまでに顔から下を冷水で濡らし、首・脇の下・内股といった大きな血管がある部位に保冷剤を当てることである程度体温を下げることができます。

病院では室温を低めにした部屋で霧吹きと扇風機などを利用し、気加熱で体温を低下させます。

また、意識状態が低下しているような子では、気管にチューブを設置し呼吸管理を行うことで体温を下げることもあります。

病院に着くまでは自力で水を飲めるのであればしっかりと水分補給をさせてください。

ただ、自力で水が飲めないほどの状態の場合、無理やり飲ませると誤嚥につながるので、無理をせず病院に任せましょう。

病院では主に静脈点滴で水分補給を行います。

熱中症ではダメージを受けた臓器によって多種多様な症状が出ます。

様々な症状が出ている場合には重症であることが多く、入院下での治療が必要となることが多いです。

熱中症は高体温によって起こる危ない病気です。

最近は認知度も上がり、真夏に見かけることは少なくなりました。

しかし、涼しくなってきた頃に車内に放置してしまった、お散歩をしてるとなってしまったという例が増えてきています。

犬は人間よりも涼しい環境を好む生き物なので、ぜひ注意してあげてください。