古典的条件付けとオペラント条件付け
みなさんはどのように犬・猫をトレーニングしているのでしょうか。
昔からよく言われるのは、「ダメなことをしたら怒る」「人が動物の上に立つ」という方法です。
実を言うとこのような方法は今は否定的であり、他のトレーニング方法が推奨されています。
そのトレーニング法の根底にあるのがオペラント条件付けと呼ばれる理論です。
実際のトレーニング方法を丸暗記するのも良いかと思いますが、「なぜそのようなトレーニングが有効なのか?」ということを理解したい方は、以下をご覧ください。
古典的条件付け
無関係な刺激に対して反応が起こる条件づけのことを言います。
非常に有名な実験があり、パブロフの犬の実験と呼ばれています。
ベルを鳴らしてから餌を与えると、ベルを鳴らすだけで犬が涎を垂らすようになるという結果が有名です。
オペラント条件付けと言葉が似ているので、違うものであるということだけ知っておいて貰えば大丈夫です。
オペラント条件付け
動物の行動が増えることを「強化」、行動が減ることを「罰」と呼び、何かを与えることを「正」、何かを失う(取り除く)ことを「負」として、計4パターンで行動の増減をコントロール、理解しようという考え方です。
なかなか難しい考え方だと思うので、以下で具体例を交えて解説します。
正の強化
何かを与えて行動を増やすことを言います。
おやつをあげてお座りを覚えてもらうことが正の強化にあたります。
その他、トイレに成功したら褒めてあげる、歯磨きをしておやつをあげるなども正の強化です。
強化を起こすための行為、物を強化子と呼びます。
平たくいうと「ごほうび」ですね。
ご褒美はおやつ以外にも撫でてあげるなども有効です。
また、この際「いい子」「えらいね」など声をかけてあげると、「いい子」「えらいね」という言葉がごほうびと結びつき(古典的条件付け)、「いい子」「えらいね」という言葉自体がごほうびになります。
これができるようになると、手が離せない時やおやつが手元にない場合もトレーニングができるようになります。
負の強化
何かを失う(取り除く)ことにより、その行動が増えることを言います。
吠えたことによって、嫌な人がいなくなるとさらに吠えるという現象がこれにあたります。
他にも噛んだら嫌なことをやめてくれたので、さらに噛むなどもよくあるパターンです。
負の強化を起こさないように耐えるというのは難しいので、嫌な人と会わせないなど、そもそも負の強化を起こさせないという対応が重要になります。
正の罰
何かを与えてその行動が減ることを言います。
怒ったらその行動をしなくなったというのが代表例です。
昔は正の罰でしつけるのが主流だったようですが、近年では正の罰が機能するタイミングが非常にシビアであることがわかりました。
そのため、正の罰の使用は一歩間違うと動物との関係性を壊すことから、ほとんどの場合行いません。
ごく稀にいまだに正の罰を使うことをすすめる人がいますが、一般の方には全くおすすめはできません。
負の罰
何かを失う(取り除く)ことにより、行動が減ることを言います。
甘噛みを無視すると段々と収まっていくのがこれにあたります(噛まれたことに対する反応が失われるため)。
甘噛み、飛びつく、関心を引くために吠えるなどのしてほしくない行動を減らすために利用します。
上記の4パターンの組み合わせ(実際にはほとんど正の強化と負の罰ですが)により、望ましい方向にトレーニングを行います。
まとめ
ややこしい考え方だとは思いますが、なんとなく知っておくだけでもトレーニングへの理解が深まると思います。
日頃のトレーニングにお役立てください。