子犬の甘噛みについて
診察室で度々「うちの子甘噛みがひどくて困ります」「甘噛みはおさまりますか?」というようなご質問をいただきます。
基本的には、「対応を間違えなければおさまります」というのが回答になるのですが、きちんとした対応を学ぶ機会はあまりないと思います。
そこで今回は、なぜ甘噛みをするのかなどから解説し、甘噛みが続かないような対策をご紹介します。
なぜ甘噛みをするのか
そもそもなぜ子犬は甘噛みをするのでしょうか。
理由は本来様々だと思いますが、「乳歯の生え変わりで歯が気になるから」「単純に遊んでいる」などが理由としてよく知られています。
最も大切なことは、子犬にとって遊びは成長のため必要であり、甘噛みはその一環の正常な行動であると知ってもらうことです。
なので、甘噛みをやめさせなければいけないという目標は間違いで、人を甘噛みしてはいけないと学んでもらうのが正しい目標設定になります。
もし甘噛みが癖づいてしまうと、成犬になり力が強くなっても噛む行動を維持してしまい、人に怪我をさせてしまいます。
噛む成犬のトレーニングは難しく、改善に時間がかかることも多いので、ぜひ子犬の間に正しい学習をしてもらいましょう。
トレーニングはいつから始めるべきか
そもそも子犬は本来複数頭で過ごすものです。
集団生活の中で子犬同士の遊びや母犬との触れ合いから遊ぶ力加減を学んでいきます。
したがって、お家に来た時点からトレーニングは実施すべきだと思います。
どのようなトレーニングが必要か
甘噛みを常習化させない方法はさまざまです。
以下にトレーニング方法をご紹介します。
おもちゃでたくさん遊んであげる
冒頭でも書きましたが、そもそも子犬は甘噛みをするものです。
なので、子犬に対しておもちゃで遊んでねというトレーニングを行いましょう。
ロープやボールといった人と遊ぶものから、コングやビジーバディなどおやつを詰めて1人で遊ぶものまで色々あるので、数種類試してあげてください。
使ってはいけないおもちゃとしては、小さすぎて飲み込めるもの、硬すぎて歯が割れてしまうもの(角、骨、蹄など)が挙げられます。
適切なおもちゃで遊ぶことで、甘噛みをしたい欲求は叶えつつ、体力を消費させることができます。
人の体で遊ばせない
ついつい手を目の前で動かしたり、足で遊んであげたりしてしまいますが、こういった行為は人の手や足で遊んでいいよとトレーニングしているようなものです。
気持ちはわかりますが、堪えましょう。
甘噛みされても怒らない、反応しない
子犬に対して怒ったり、叩くなどを行うと、甘噛みを一旦やめることは多いです。
しかし、その結果犬が恐怖を感じ、身を守るために噛むようになったり、怒らない人にだけ噛むようになったりと困ったことが起こります。
また、お子さんに多いのですが、甘噛みされたことに対して大袈裟に反応してしまうと、子犬からすれば楽しい反応であり甘噛みを助長します。
基本的な対応として、甘噛みをされた場合には反応せずその場を立ち去ることをおすすめします。
これを繰り返すことにより、甘噛みをしても良いことがないという学習を引き起こし、甘噛みが減少することが知られています。